
「自分自身ができる限り危害を被ることなく、相手だけに最大級の危害を加える」
太公望も孫子も呉子も、柳生宗矩も宮本武蔵もいちいちそんなことまで
兵法書の中で言及してはいないが、できる限りさようであろうとするのが、
武の理想中の理想であり、故に最最最最最最最最最最低限のわきまえともすべきものである。
(以下、漫画作品に関するネタバレあり)
鹿児島出身で、自らにスポーツ剣道やバスケの経験しかない井上雄彦は、
武蔵の伝記漫画バガボンドの中で、武蔵を歴戦の猛者ゆえに傷だらけの男として描き、
吉岡一門70人以上との戦いでも足に深手を負って一時跛足となったように描いてたが。
自らも柳生新陰流を含む本物の剣術を多く学び修めて来たとみ新蔵氏は、
新陰流五世の柳生包厳をそれどころではない圧倒的強者として描き、
豊臣の残党200人以上を相手に皆殺しの勢いで討ち勝って(中途で相手が降参)、
しかもかすり傷の一つも付けられずに済ませたとしている。
(ネタバレここまで)
どちらのほうがよりリアルに近いのかというと、実は後者である。
本式の戦闘では一太刀、一撃がそれだけで致命傷になるのが常だから、
かすり傷の一つも負わないままで済ませるのを基本中の基本とする。
なればこそ、生涯にわたって最前線で戦い続けて来た本田忠勝なども、
ただの一度も戦さ傷を負ったことがないのを自慢材料にもしていたという。
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