
遅ればせながら観てみたがね。
千と千尋の主人公男子版って感じで、ほとんど精神病患者の夢想みたいなファンタジーが、
ちゃんと意味の通った話へと帰結して行く手法は、やっぱり見事だと思うね。
一方で、主人公が戦前世代でもなければあり得ないほどの、毅然とした子供で、
今の子供や若者はおろか、団塊以下の戦後世代の年寄りにすら、
あまり感情移入ができないんじゃないかとも思われる。
宮崎駿本人も、創作人生の集大成と自認しながら取り組んだ作品らしく、
セルフオマージュ的な描写がこれでもかと詰め込まれていて、
別の人間が作ったのならパクリと批判されかねないほどである。
なおかつそれで改めて思わされたのは、宮崎駿といえども、アニメ表現にかけての
自前の手法っていうのはそれなりに限られた数に限られていて、視聴者を確実に楽しませて
かかれるようなアニメーション技法を編み出したりすること自体が、至難の業なのだと知れる。
逆に、手塚治虫の漫画表現の引き出しなんて、ほとんど無限大といっていいぐらいだが、
それを自身のアニメにまともに落とし込めたような試しもほとんどないので、
今見ると宮崎以降の作品と比べて非常に質が低い。漫画業の片手間で作ってたから
なのもあるだろうけれど、やはり漫画とアニメというのは相いれない部分があるのだなと思う。
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